トンヌラ頑張れ。超頑張れ。

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diva affonda

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 Diva affonda・6
ルプガナの港に時ならぬ旋風が吹き荒れる。木箱の小魚と海水が竜巻のように舞い上がったと思うと、黒衣の男が忽然として現れた。ルーラ、或はキメラの翼の効果を見慣れぬ田舎漁師たちは戸惑いおののきながら長身の男を見やった。「……ネーヴェ様!?」箱から飛び出す飯蛸を慌てて拾い集めていた娘が声をあげる。ネーヴェ---いつか旅先で思いつくまま口にした出鱈目の名を耳にしても、ズィータは娘に一瞥もくれることはなかった。手に...

diva affonda

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 Diva affonda・5
 トンヌラは夢を見ていた。背中に生えた一対の青い翼をゆるやかに動かしてみて思い出す。ああそうだ、自分は空姫だったのだ。細い魔法の銀線で組み上げられた鳥籠のむこうから、鋭い目で竜が見つめている。籠の扉は開いていた。けれどーーー(竜は、僕を守ってくれていたんだ)岩喰い蜘蛛の網に捕らわれ翼を傷めていた自分を救い……愚かな雛鳥を捕食者の爪から護るため籠に住まわせた。自由を与えられた今になってそんなことに気づく...

短篇(冒険中)

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 Re:
ーーー何時もの夢を見ているのだと思った。王家の人間のみが立ち入ることを許されている禊ぎの地、"旅人の泉"を訪れたとき、彼は忘れ得ぬ女神に逢った。無論それがかつて出会った石の女神でも、ましてや地上に降り立った本物の女神でもないことはすぐに分かった。泉の番人から先客のあることを聞かされたときは、唐黍の髪のうすねぼけた少年を想像していたのだが…… 数年ぶりに目にしたサマルトリアの王子は、ズィータの思いも寄ら...

diva affonda

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 Diva affonda・4
 南国の空気の中、突如として一陣の風が躍った。粉雪をまとった黒衣の貴婦人が音もなく降り立つ。にわかに色めき立つ衛兵達の前で、トンヌラは静かに一礼して告げた。「デルコンダル王、ベスティア様にお目にかかりたく---わたくしは、ロンダルキア王妃 トンヌラです」毅然とした態度に彼らは一斉に姿勢を正した。……慣れない口調だが、上手に言えただろうか。夫に恥をかかせるまい、とトンヌラはかたく心に決めていた。いつか身...

diva affonda

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 Diva affonda・3
「とうさまとかあさま、けんかしてるの?」幼い息子から投げかけられたふいの問いに、ズィータはぎくりとした。「…そう見えるのか?」「うん」動揺を押し隠して尋ねる父に、双子は左右から同時に頷いた。「かあさま、さびしそう」「とうさま、こわいおかおしてる」今度は違う言葉が---ある意味では同じ意味の言葉が、やはり同時に発せられる。取り繕おうとしたところで子供には分かってしまうものなのか、とズィータは苦笑した。面...
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