トンヌラ頑張れ。超頑張れ。

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□ 短篇(ロンダルキア編) □

スライムぷるぷる

浅い微睡みから醒めた北の王は、自分が一匹の軟体動物に変化していることに気付いた。

(……なんだこりゃ)

ひとりごちてみても、発せられたのはきゅるきゅるという頼りな気な鳴き声だけ。
巨大な涙滴のかたちをした群青の色の、それは常よりも大きなスライムだったのだ。
かたちが変わった以外にとりたて体の不調は無さそうだ。王は落ち着いてあたりを見渡すと、
ひとまず伸びをしてみた。人とモンスターを統べる魔王たるものこの程度で慌てふためい
たりはしないのである。するとしずく型の先端は驚く程の柔軟性を持って高く作られた天井を
擦らんほどに伸びた。身をかがめようとすれば、今度は水たまりのように際限なく広がって
床に貼り付く。

(こりゃ面白ぇ)

こうなった理由など考えてみても始まるまい。王はこのぷるぷると揺れる生き物の身体を
楽しむことに決めた。-となれば、真っ先に向かう場所は決まっている。
スライムはゆるやかに身を揺らしつつ、王妃の寝室へと向かった。

 午後の穏やかなひとときをトンヌラはたいていシエスタの時間に宛てている。戸口から
覗き込むと案の定静かな寝息が聞こえて来る。低くなった視点から寝台に横たわる王妃の
姿態を伺うことはできない。

「…………うぅん…」

かすかな吐息と共に寝台が軋み、白くむっちりした脛が覗く。スライムは-ちょうど背伸びを
するように-縦長に伸びて王妃の寝姿をうかがった。金髪の王妃はやすらかに眠息をたてる
幼姫を胸に抱き、開いた絵本の上にうつ伏したかたちのまま寝入っていた。物語を読み聞かせ
ながら己が眠ってしまったのだろう。

「……んんにゅ……ズィータさま…」

寝言に自分の名を呼ばれ、スライムは眉をひそめた(もっとも眉どころか髪の一筋も生えては
いない身体だが)。

「わぁ……いいんですか?ズィータさまのぶんまで…えへへ……いただきまーす」

…なにを勝手な夢見てやがる。
安心しきったトンヌラの寝顔を眺め、王は生の満月草を齧らされたような渋面をつくった。
雌奴隷のくせになまいきな。-仕置きしてやらねばなるまい。スライムの身体は一端
極限までちぢこまり、それからびょんと大きく跳ねて寝台の上に着地した。無防備に裾を
乱して眠る王妃の姿は、しどけないというよりむしろ遊び疲れた幼い男の子のそれだった。

(なんてまあ色気の無え)

群青のスライムはしかめ面で妻の寝顔に舌を出し、すみやかにドレスの裾から身を
潜り込ませていった。下着はつけておらず、貞操帯に護られたその場所へ用意にたどり着く。

(何時見てもガキ臭ぇな。胸はバカみたいにでかくなる癖に、コッチはちっとも育ちゃしねえ)

半透明の身体で幼茎にからみつき、緩やかな蠕動をはじめる。

「ふぁ…んんにゅ??」

困惑したような声を漏らしながらトンヌラは太腿をもじもじと擦り合せた。

「ふゃう…やんっ…なに…なさるんですかあ…ごはんの…むにゃ…最中に…」

この期に及んでまだ快い眠りを手放そうとしない伴侶に、王は調子づいて悪戯を続ける。
肉付きのよい下腹から、少年らしさを残した脇腹へと粘膜を伸ばして擽るとトンヌラは子猫の
ような嬌声をあげた。かたちの良い臍からみぞおちをたどり、上へ上へと移動する。

「ふぅ…やっ、ひゃふっ……っ」

軟体動物に撫で回される感触にくすぐったげな喘ぎが漏れるが、無意識のうちに娘に聞かせ
まいとしてかその声は抑えめだった。それをいいことにスライムはなおも執拗に柔肌を
責め続ける。流石は竜王の化身というべきか、ズィータはこの短時間にスライムの体を自在に
操る術を身につけていた。透明な触手を目いっぱいに伸ばし、薄く開かれた唇の間にねじ込む。

「んむぅ…くぅん」

夫の『教育』の賜物か、戸惑うようなうめき声をたてながらも自ら触手に吸い付き舌を
からめてくる。

「んぁむ……らめぇ、ごはん…おわって、からぁ……ひゃぷっ」

嫌がるそぶりを見せながらも、口内粘膜をつかって丹念に愛撫を続けるトンヌラ。その表情は
奉仕の恍惚に満ちている。

(ったく、どんな夢見てやがるんだか…エロ狂いの肉奴隷が)

呆れた息を吐きつつも、魔物は牝肉を嬲り続ける。

-ふと。背後に気配を感じた王は素早く視線をそちらに向けた。そこにはいつから目覚めて
いたのか、金髪の幼姫がきょとんとした表情で 魔物にまとわりつかれた母を眺めている。
ち、とかすかに舌打ちをもらし、スライムは大きくバウンドして寝室から逃げ去って行った。
流石に分別盛りの子供に母親の痴態を見せる訳にもいかない。娘ともなれば尚更だ。
血気盛んな若き魔王とはいえその程度の分別は弁えている。姫はぱちぱちと瞬きをしながら
しばらく魔物の飛び去って行った方向を眺めていたが、再び襲って来た眠気に可愛らしい
欠伸をして布団に潜り込んだ。

「はぅ…いじわる…ぅ」

始終夢の中に居た后は切なげな吐息とともに焦れた寝言を漏らし、やがてふたたび深い眠りに
落ちて行った。

-ふと気付くと、王はもとの玉座に腰掛けていた。見慣れた手甲と垂れた前髪が視界にうつる。
スライムではなく、竜の血を濃く引いた人間の男…いつも通りの肉体だ。

(くだらねえ夢を見たもんだな)

王は腹立たし気に頭を掻いた。よりによってあんな下等なモンスターになるとは。
物心ついた頃、父の見よう見まねでひのきの棒を振り回しさんざ潰して遊んだ呪いが
今になって及んだのだろうか。

「とうさまぁー」

駆け寄って来る小さな足音に顔をあげる。

「どうした、トンヌラに絵本を読んでもらってたんじゃないのか」

膝に飛び乗って来る幼い娘をむすっとした顔のまま、しかし優しく抱きかかえる。

「かあさま、ねちゃったの」
「しょうがねぇ奴だな、ったく」

やはりあれは夢だったのか。それにしてはやけに生々しかったな。
何が可笑しいのか、邪神の器たる小さな姫君はころころと笑い声をあげて父の顔を
覗き込む。

「とうさま、さっきかあさまにキスしてたでしょう」
「……なッ!?」

不意打ちに、流石の竜王も耳まで赤くなった。

「な、馬鹿、なにを言ってるんだ」
「ええ?だってわたし、見たもの」

あどけない瞳に映ったのは、かりそめの衣の向こう側……すなわちいつも通りの夫と妻の
じゃれ合いだったのだ。


***



 ---その後王妃の湯殿に這い込もうとしていた朱色のスライムが目撃され、アトラスの
一喝によって追い払われるという一件が起こった。とある部屋より"へんげのつえ"を
押収した王がそれをどうしたのか、緋毛の腹心がどんな目に合ったのか、
それはまた別のお話である。



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